前提条件
・被相続人:母(熊本市)
・相続人:長女(熊本市)(ご相談者様)、二女(東京都)
ご相談内容
・熊本市在住の長女様(ご相談者様)よりお母様の相続税申告のご依頼がありました。
長女様より「母が亡くなりました。母の相続財産には、自宅がある土地、自宅の家屋、預金、生命保険金がありました。母とは同じ熊本市で近くに住んでおりましたので、基本的には私が、買い物の手伝いや、病院の送り迎え等、ずっと面倒をみておりました。また、晩年はヘルパーさんと協力しながらではあるものの、母の介護を私がして、生前に母からは、相続財産は全て私に相続するようにと言われておりました。ただ、母は遺言書を作成しておりませんでした。
実際に母に相続が開始してから、まだお葬式の最中にもかかわらず、東京に住んでいる妹から、母の相続財産がいくらあるのか、また、相続するのは法定相続分である1/2ずつである旨を主張されて非常に驚きました。さすがにお葬式の最中にそのような話をすることは憚られましたので、後日話し合いの場を設けました。
その際に、私が母の介護をしていたことや、母から生前に相続財産は全て私に相続するようにと言っていた旨伝えましたが、全く聞く耳を持ってくれませんでした。私も母の相続財産全てをもらうつもりはありませんが、まさかきっちり法定相続分の1/2の相続財産を求められるとは思っておりませんでしたので、困っております。ただ、正直、もともと妹とは仲が良かったため、今から争いたくありません。どのようにすればよろしいでしょうか。」
当事務所のご対応
まずは、長女様に、今後の相続手続きの流れや、相続税申告の流れ、また、相続人としてもらえる法定相続分の話を改めてご説明いたしました。
また、相続には、寄与分という制度があることもご説明いたしました。寄与分とは、お母様の相続財産の減少の防止等で特別な貢献をした場合、相続する財産にその減少防止した相続財産等を上乗せして相続できる制度です。ただ、寄与分が認められるためには、要件があり、また、妹様を納得させるためには、弁護士等の専門家と一緒に主張することになる可能性があることをご説明いたしました。
長女様としては、多少は相続財産を多くもらいたいというお気持ちはありましたが、また、妹様から話を聞いた当初は、直接お伝えはしていないものの、非常に憤りを感じたそうです。ただ、仲の良かった妹様と争いたくはないというお気持ちが強く、また、裁判に要する必要な費用や、裁判が解決するまでの期間、そして、妹様と争うことによる精神的な苦痛は避けたいというお気持ちが強いとのことでした。
結果的に、妹様とは、法定相続分である1/2ずつの相続財産を相続することとなりました。
お母様のご自宅については売却、換金して1/2ずつ相続して、また、預金も1/2ずつ相続することとなり、その内容で相続税申告をすることとなりました。
当初、姉妹で争いになりかけましたが、争いを避けたいという長女様の強いご希望で、争いにはならずに相続することができました。
当事務所としては、中立な立場でお二人のサポートをさせて頂きましたが、本来、お母様が長女様に全ての相続財産を相続してほしいという思いがあったのであれば、そのお気持ちを遺言書に作成して頂くことが非常に重要であると再確認した事例でありました。遺留分の兼ね合いから全ての相続財産というのは難しいかもしれませんが、少なくともお母様のお気持ちは伝わるでしょうし、今回でいえば、少なくとも3/4は長女様に相続させることができました。
相続対策は、生前に実施することが非常に重要です。争い対策にかかわらず、相続対策全般、また相続税申告等、相続に関わるあらゆるお悩みに、Growth(グロース)税理士事務所が幅広く対応いたします。
スムーズで円満な相続を目指すなら、どうぞご安心のうえお任せください。
担当税理士のコメント
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