前提条件
・被相続人:父(熊本市)
・相続人:母(熊本市)(ご相談者様)、長男(熊本市)(ご相談者様)、長女(玉名市)
ご相談内容
・お母様(ご相談者様)、長男様(ご相談者様)よりお父様の相続税申告のご依頼
・父が亡くなりました。両親は長年、個人商店を営んでおり、父の相続財産である不動産には、自宅兼商店の土地、家屋があります。商店については、父の生前より、長男である私も一緒に営んでおりました。また、今後も私が引き続き商店を営んでいく予定です。なお、私は妻とともに両親と同居しています。
・被相続人の自宅の土地や、被相続人が営んでいた商店の土地については、相続税を計算するときの土地の評価が安くなる特例があると聞きました。自宅と商店は同じ敷地にありますが、私たちはそれぞれ特例の適用を受けられるのでしょうか。
当事務所のご対応
個人の方が、相続によって取得した土地のうち、被相続人の自宅や事業をするための土地については、一定の要件を満たすことによって、小規模宅地等の特例という土地の評価減の適用を受けることができます。小規模宅地等の特例は、相続税の大きな節税となりますので、適用の可能性がある場合には、積極的に適用の検討をします。
被相続人の自宅(居住の用に供されていた土地)については、特定居住用宅地等という土地に該当するため、330㎡まで、相続税評価額の80%減額となります。
相続をする方にも要件があります。お母様(ご相談者様)が被相続人の自宅を相続した場合には、要件もなく、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の特例の適用を受けることができます。また、長男様(ご相談者様)についても、同居をしているとのことですので、被相続人の自宅を相続した場合には、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の特例の適用を受けることができます。ただ、長男様がこの特例の適用を受ける場合には、相続税の申告期限まで引き続きその自宅に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していることが要件となりますので、注意が必要です。今回のご相続において、お母様も一定の相続財産をお持ちでしたので、ご自宅は同居をしている長男様がご相続することとなりました(なお、商店も自宅と同じ敷地内で営んでおりますので、商店の土地についても、長男様が相続することとなりました)。
小規模宅地等の特例は、被相続人の自宅の土地だけではなく、被相続人が事業をしていた土地にも適用することができます。被相続人が事業をしていた土地で適用を受ける小規模宅地等の特例は、特定事業用宅地等といいます。特定事業用宅地等については、400㎡まで、相続税評価額の80%減額することができます。
特定事業用宅地等についても、その適用を受けるにあたっての要件があります。まず、長男様がその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいることです。もともと一緒に商店を経営されていたとのことですので、この要件は満たすことができます。次に、その宅地等を相続税の申告期限まで有していることです。こちらについても、今後も引き続き同じ土地で事業を営んでいかれるとのことですので、要件を満たすことができます。したがって、長男様は小規模宅地等の特例のうち、特定事業用宅地等の特例の適用も受けることができます。
小規模宅地等の特例のうち、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等については、併用して適用することができます。その結果、今回の相続税申告にあたって、長男様は非常に大きな相続税の節税をすることができました。
担当税理士のコメント
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